1. 秋山財団賞:1件 褒賞金300万円
2023年4月1日現在で北海道内の研究機関等に所属し、生命科学の進歩発展に顕著な功績をあげた研究者が対象です。 |
受 賞 者 | 渡邉 雅彦(ワタナベ マサヒコ)氏 ( 63歳 ) |
所属・役職 | 北海道大学大学院医学研究院 教授 |
受賞テーマ | グルタミン酸情報伝達系によるシナプス回路発達の分子解剖学的基盤 |
受賞理由 |
言葉を覚えたり、練習をしたりする事により運動が上手にできるようになるのは、脳の細胞数が増えるのではない。シナプスと呼ばれる、神経細胞間に形成される情報伝達のための接触構造の変化により引き起こされる。渡邉雅彦氏は、一貫してシナプス回路発達、特に神経活動に依存する神経回路の改築と成熟の分子細胞基盤の解明に貢献してきた。発達期の脳のシナプス回路は過剰で重複が多いが、外界からさまざまな刺激を受けることで精緻化される。その際、刺激によって神経回路がどのように変化するのか、伝達が上手く行われなかった場合にどのような影響が出るのかを分子レベルで研究してきた。グルタミン酸は、脳における最も主要な神経伝達物質で、記憶や学習の基盤と考えられるシナプス可塑性に関与している。その受け手がグルタミン酸受容体、運び屋がグルタミン酸トランスポーターである。渡邉氏は、グルタミン酸受容体とグルタミントランスポーター研究の黎明期から研究に着手してきた先見性・先駆性を持つ。また、分子の検出や分子を発現する組織・細胞の可視化に不可欠な抗体の開発に携わり、これまでに200種類以上の分子に対する特異抗体も開発し、これらの抗体を用いて先端的な神経分子形態学的研究を推進してきた。受賞対象英文学術論だけに限定すると、その数は98報であるが、渡邉氏が著者となっている学術論文は実に622報にのぼる。渡邉氏は、北海道大学医学研究科を舞台に、30年にわたり重要な基礎研究を長年にわたって牽引し、国内外に大きなインパクトを与えてきた。 |
(敬称略)
2. 秋山喜代賞:1件 褒賞金50万円
各分野での功績があり、一層の飛躍と進化を求め続ける女性で、北海道に縁(ゆかり)のある方が対象です。 |
受 賞 者 | 竹内 美妃(タケウチ ミキ)氏 ( 51歳 ) |
所属・役職 | 竹内牧場 代表 |
受賞理由 |
東京出身の竹内美妃氏は、北海道での酪農を志して道東の浜中町に移住、入植し、現在は独立して放牧型の酪農を営んでいる。当初は地元の診療所で看護師としても勤務。道下俊一医師と出会い、津波災害による医療支援や僻地医療、看護の大切さを学んだ。その後、看護師経験を活かした地域貢献活動を実践するため「キャンナス釧路」を立ち上げ浜中農協と連携、酪農地域の高齢者の生活支援として独自のデイサロン活動を展開し、今では農村福祉の先駆モデルとして注目されている。さらに国内外の緊急医療支援活動にも積極的に参加し、国際協力への貢献とともに災害看護の分野で実践的な活動を続けている。 |
(敬称略)
3 -(1)研究助成〈一般〉:20件 2,000万円 [贈呈額:100万円]
北海道内の各種の研究機関等に所属し、生命科学のうち自然科学分野の基礎的研究で優れた研究者であり、年齢は問いませんが、若手研究者を期待、また自立的或いは共同で研究を行う研究者を対象とします。 |
氏名 | 旭川医科大学医学部 教授 |
研究テーマ | 炎症応答を応用した薬剤耐性菌治療法の開発 |
氏名 | 森林総合研究所 主任研究員 |
研究テーマ | ササの開花遺伝子発現量による花成開始時期の推定 |
氏名 | 北海道大学大学院医学研究院 講師 |
研究テーマ | 培養細胞を用いた脳死下および心停止下ドナーモデルにおける移植心筋障害機序の解明 |
氏名 | 北海道大学大学院医学研究院 講師 |
研究テーマ | 正中縫線核セロトニン合成能阻害による抗うつ様効果の検証 |
氏名 | 北海道大学大学院工学研究院 准教授 |
研究テーマ | 高圧ガラス化法による細胞の凍結保存技術の開発 |
氏名 | 北海道大学大学院先端生命科学研究院 准教授 |
研究テーマ | 細胞分裂不全による染色体異常がもたらす生物学的リスクの系統的解析 |
氏名 | 帯広畜産大学グローバルアグロメディシン研究センター 准教授 |
研究テーマ | ブドウの越冬機構‐冬芽の再馴化メカニズムの解明- |
氏名 | 北海道大学大学院農学研究院 教授 |
研究テーマ | 12水酸化胆汁酸と関連代謝物および腸内細菌叢の解析を基盤とした未病指標の構築 |
氏名 | 北海道大学大学院歯学研究院 教授 |
研究テーマ | 食体験による記憶の塗り替え機序を探る-心因性悪心・嘔吐の抑制療法開発を目指して- |
氏名 | 札幌医科大学医療人育成センター 教授 |
研究テーマ | p53標的小型タンパク質の探索と機能解明 |
氏名 | 公立千歳科学技術大学理工学部 教授 |
研究テーマ | ネットワーク解析アプローチによるフラボノイドの効能予測 |
氏名 | 北海道大学遺伝子病制御研究所 准教授 |
研究テーマ | 腸管恒常性の破綻に着目したCOVID-19重症化の分子機序の解明 |
氏名 | 北海道大学遺伝子病制御研究所 准教授 |
研究テーマ | 老化細胞が老化因子を分泌する仕組みをゲノムの3次元構造変化で解明する |
氏名 | 北海道大学大学院薬学研究院 准教授 |
研究テーマ | 汎用的分子設計に基づくタンパク質阻害ヘリカルペプチドの創薬研究 |
氏名 | 北海道大学大学院獣医学研究院 准教授 |
研究テーマ | 北海道に流行するエキノコックスの集団遺伝構造の解明 |
氏名 | 札幌医科大学医学部 助教 |
研究テーマ | 骨格筋の分岐鎖アミノ酸代謝を標的としたサルコペニアの新規治療法開発 |
氏名 | 北海道大学大学院薬学研究院 准教授 |
研究テーマ | 神経活動依存的標識を基礎にした扁桃体海馬野における養育行動関連細胞の特定と薬理学的検証 |
氏名 | 旭川医科大学先進医工学研究センター 准教授 |
研究テーマ | 自己組織でつくる年齢と共に成長する心臓弁の研究 |
氏名 | 北海道大学大学院医学研究院 准教授 |
研究テーマ | 椎間板変性評価における非侵襲的導電率マッピングシステム開発 |
氏名 | 北海道科学大学薬学部 講師 |
研究テーマ | EGFR阻害剤の抗がん作用増強と耐性克服を目指したオートファジーの応用 |
(受付順、敬称略。所属・役職等は申込時のものです)
3 -(2)研究助成〈奨励〉:17件 850万円 [贈呈額:50万円]
北海道内の各種の研究機関等に所属し、生命科学のうち自然科学分野の基礎的研究で優れた研究者であり、申込時の年齢が40歳未満で、また自立的研究を行う研究者を対象とします。 |
氏名 | 北海道大学北海道大学病院 特任助教 |
研究テーマ | 副腎機能不全兆候の多様性の解明とスクリーニング法の探索 |
氏名 | 北海道大学大学院医学研究院 助教 |
研究テーマ | NUP98陽性急性骨髄性白血病における薬剤抵抗性機序の解明 |
氏名 | 北海道大学大学院医学研究院 博士研究員 |
研究テーマ | 睡眠時神経活動を介した前障による感覚情報統合機構の解明 |
氏名 | 旭川医科大学生理学講座 助教 |
研究テーマ | 予測を必要とする姿勢制御における頭頂葉の役割 |
氏名 | 北海道大学大学院医学研究院 助教 |
研究テーマ | フラビウイルスNS1タンパク質の分泌メカニズムに関する研究 |
氏名 | 北海道大学大学院医学研究院 助教 |
研究テーマ | 選択的スプライシングが制御する表皮角化細胞分化機構と皮膚疾患の病態解明 |
氏名 | 北海道大学創成研究機構 特任助教 |
研究テーマ | 新規ペプチド合成法創成に向けた金-亜鉛触媒によるカルボキシル基活性化法の開発 |
氏名 | 北海道大学大学院医学研究院 特任助教 |
研究テーマ | 非ヒト霊長類を用いた作業記憶の消去に関連した前頭連合野神経活動の成因に関する研究 |
氏名 | 北海道大学大学院農学研究院 助教 |
研究テーマ | 折り紙をする虫オトシブミ科にみられる多様な揺籃形成行動の進化史解明 |
氏名 | 帯広畜産大学グローバルアグロメディシン研究センター 助教 |
研究テーマ | 人獣共通アフリカトリパノソーマ症に対する家畜用経口予防薬の開発 |
氏名 | 北海道大学低温科学研究所 助教 |
研究テーマ | タンパク質性状解析を通じて迫る冬眠哺乳類の低温耐性 |
氏名 | 北海道大学大学院工学研究院 助教 |
研究テーマ | 疾患細胞ミトコンドリアの機能改善を実現する分子送達システムの創製 |
氏名 | 札幌医科大学医学部 助教 |
研究テーマ | Osteopontin制御機構を用いたgut-lung axisの機序の解明 |
氏名 | 札幌医科大学医学部 助教 |
研究テーマ | DOT1Lを標的とした多発性骨髄腫の新規エピジェネティック治療法の開発 |
氏名 | 札幌医科大学医学部 助教 |
研究テーマ | 多発性硬化症の新規検査方法の確立 |
氏名 | 北海道大学大学院保健科学研究院 助教 |
研究テーマ | 超低投与線量PET検査を実現するDeep Learning技術の確立 |
氏名 | 旭川医科大学医学部 助教 |
研究テーマ | 慢性低酸素環境下で活性化される新規転写因子による乳がん幹細胞維持機構の解明 |
(受付順、敬称略。所属・役職等は申込時のものです)
4-(1)ネットワーク形成事業助成A(一般)プロジェクト:4件 320万円
[贈呈額: 100万円(2件)、70万円(1件)、50万円(1件)]
(2023年度~2025年度までの3年間継続助成)
「生命科学(いのち)」をテーマとし、北海道においてさまざまな領域で直面する社会的課題を解決するために取り組む“つなぐ”プロジェクトや起業を対象とします。多様なメンバーで「プラットホーム」を形成し分野横断的な「ネットワーク」を構築することを必須条件とし、活動の質的なステップアップ、担い手としての自立を目指すプロジェクトや起業を支援します。原則として3年間の継続助成です。 |
プロジェクト名 | 近未来地域課題解決・広域型地学協働プロジェクト |
代 表 者 | 菅野 典子(スガノ ノリコ) チームM代表 |
概 要 | 企業・NPO・地域住民・専門家が人材育成ネットワークを形成し、高校生と協働で地域課題解決策を考え、提言、実行することで、持続的な未来の担い手育成体制を構築する。 |
プロジェクト名 | 女性アスリートの心身をサポートするワンストップ型web相談窓口開設プロジェクト |
代 表 者 | 後藤 佳子(ゴトウ ケイコ) 新札幌整形外科病院 医師 |
概 要 | 女性アスリートに特有の心身に関する問題を防ぐため、ワンストップ型の相談窓口をweb上に開設し、どこにいても不安や不調を相談できるネットワークを構築する。 |
プロジェクト名 | 劇場を拠点とする多文化共生のための対話の場の創出 |
代 表 者 | 平田 未季(ヒラタ ミキ) SHAKE★HOKKAIDO代表 |
概 要 | 北八劇場を拠点に、劇場・劇団と外国人住民支援団体との協働によって、演劇ワークショップを通じて外国人住民と地域住民が相互理解を深め多文化共生に向けた対話を行う場を創出する。 |
プロジェクト名 | ミツバチがつなぐヒトとマチ~都市型養蜂からサスティナブルなまちづくりへ~ |
代 表 者 | 酒井 秀治(サカイ シュウジ) NPO法人サッポロ・ミツバチ・プロジェクト理事長 |
概 要 | 環境指標生物であるミツバチを中心に、他業種と連携・協働した環境教育、地域資源の商品化、ツーリズム事業を実践し、より多くの人へ身近な自然環境への気づき・保全意識醸成を図る。 |
(受付順、敬称略。所属・役職等は申込時のものです)
【2023年度 秋山財団 各種助成金】
区 分 | 件 数 | 金 額 |
1. 秋山財団賞 | 1件 | 3,000,000円 |
2. 秋山喜代賞 | 1件 | 500,000円 |
3-(1) 研究助成〈一般〉 | 20件 | 20,000,000円 |
3-(2) 研究助成〈奨励〉 | 17件 | 8,500,000円 |
4-(1) ネットワーク形成事業助成【A】(新規) | 4件 | 3,200,000円 |
※ネットワーク形成事業助成 (継続) | 3件 | 3,000,000円 |
合 計 | 46件 | 38,200,000円 |
※ネットワーク形成事業助成(継続助成分)の概要
【2021年度に採択となったプロジェクト(2023年度終了)】
プ ロ ジ ェ ク ト 名 | 代 表 者 | 2023年度 |
市民主体の対話によるまちづくりのための プラットホーム構築 ~北海道で市民ファシリテーターを増やそう~ 《 A“地域をつなぐ”プロジェクト 》 | 宮本 奏(ミヤモト カナデ) NPOファシリテーション きたのわ 代表 | 100万円 |
さっぽろ里山会議 《 A“地域をつなぐ”プロジェクト 》 | 永田 勝之(ナガタ マサユキ) さっぽろ里山会議、NPOあおいとり 小別沢町内会長、半農半建築家 | 100万円 |
【2022年度に採択となったプロジェクト(2024年度終了)】
プ ロ ジ ェ ク ト 名 | 代 表 者 | 2023年度 |
高校生・大学生向け 創業支援ネットワーク形成プロジェクト 《 A(一般)プロジェクト 》 | 浜中 裕之(ハマナカ ヒロユキ) NPO法人北海道エンブリッジ 代表理事 | 100万円 |
(敬称略)
以上
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