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2022年度 秋山財団賞、研究助成、ネットワーク形成事業助成が決まりました。

category : お知らせ, 助成事業 2022.6.17

1. 秋山財団賞:1件 褒賞金300万円

2022年4月1日現在で北海道内の研究機関等に所属し、生命科学の進歩発展に顕著な功績をあげた研究者が対象です。

受 賞 者

鳥越 俊彦(トリゴエ トシヒコ)氏( 62歳 )

所属・役職

札幌医科大学医学部病理学第一講座 教授

受賞テーマ

ヒトがん免疫応答のメカニズム解明とがん免疫療法への応用研究

受賞理由

いつ、誰が「がん」と診断されても不思議のない昨今、その診断、治療、予防につながる多様な視点からの研究が世界中で大きな進歩を遂げつつある。その一つの基軸をなすのが、免疫応答の立場からの研究であろう。鳥越俊彦氏は、がん細胞の免疫機構による認識や排除に関わるがん抗原、特にがん幹細胞抗原の基礎研究とがん免疫療法の臨床研究に、それぞれ先駆的で大きな成果を挙げておられる。とりわけ、がん幹細胞については、その存在が示された1990年代から特異抗原の同定に挑み、特異抗原を認識して攻撃するT細胞とT細胞応答の分子機序、免疫回避の仕組み、さらにがん幹細胞を取り巻く細胞/微少環境とのクロストークの解明など、札幌医科大学を舞台に、重要な基礎研究を長年にわたって牽引し、国内外に大きなインパクトを与えてきた。同時に鳥越氏は、これら基盤研究成果を、がん幹細胞を標的とする治療法開発の全国規模臨床研究、臨床試験へと展開し、さらには免疫病理学に基づく治療法や予後予測法の開拓にも大きな影響を与えている。現在進められているがんワクチンの開発や、がん組織免疫病理学的分類の国際的な診断基準策定などがその具体として挙げられる。こうした功績に加え、鳥越氏は、研究実践を通じて多くの若手研究者を育成したことはもちろん、北海道地域社会の市民と高校生に向けて、がん医療や日常生活のなかの免疫学を語ることをとおして、生命科学研究の面白さ、大切さを、社会と次世代につなぐことを実践し続けてこられた。
以上のように、鳥越俊彦氏は、がん免疫応答の仕組みに関する基礎研究、ならびに免疫療法開発に向けた臨床研究/応用研究に果敢に取り組み大きな成果を挙げている。鳥越氏は、それらの成果、ならびに関連の諸活動をとおして生命科学研究の進展と社会の健全な持続発展に大きく貢献しており、秋山財団賞受賞者として真に相応しい研究者である。

【代表的な学術論文】
1. Hirama T, Tokita S, Nakatsugawa M, Murata K, Nannya Y, Matsuo K, Inoko H, Hirohashi Y, Hashimoto S, Ogawa S, Takemasa I, Sato N, Hata F, Kanaseki T, Torigoe T. Proteogenomic identification of an immunogenic HLA class I neoantigen in mismatch repair-deficient colorectal cancer tissue. JCI Insight. 6: e1463562021, 2021.
2. Kikuchi Y, Tokita S, Hirama T, Kochin V, Nakatsugawa M, Shinkawa T, Hirohashi Y, Tsukahara T, Hata F, Takemasa I, Sato N, Kanaseki T, Torigoe T. CD8+ T cell immune surveillance against a tumor antigen encoded by an oncogenic long non-coding RNA, PVT1. Cancer Immunol Res. 9:1342-1353. 2021.
3. Shinkawa T, Tokita S, Nakatsugawa M, Kikuchi Y, Kanaseki T, Torigoe T. Characterization of CD8(+) T-cell responses to non-anchor-type HLA class I neoantigens with single amino-acid substitutions. Oncoimmunology. 10:1870062. 2021.
4. Shima H, Tsurita G, Wada S, Hirohashi Y, Yasui H, Hayashi H, Miyakoshi T, Watanabe K, Murai A, Asanuma H, Tokita S, Kubo T, Nakatsugawa M, Kanaseki T, Tsukahara T, Nakae Y, Sugita O, Ito YM, Ota Y, Kimura Y, Kutomi G, Hirata K, Mizuguchi T, Imai K, Takemasa I, Sato N, Torigoe T. Randomized phase II trial of survivin 2B peptide vaccination for patients with HLA-A24-positive pancreatic adenocarcinoma. Cancer Sci. 110:2378-85. 2019.
5. Torigoe T, Asanuma H, Nakazawa E, Tamura Y, Hirohashi Y, Yamamoto E, Kanaseki T, Hasegawa T, Sato N. Establishment of a monoclonal anti-pan HLA class I antibody suitable for immunostaining of formalin-fixed tissue: unusually high frequency of down-regulation in breast cancer tissues. Pathol Int. 62:303-8. 2012.

【代表的な著書】
1. 鳥越俊彦:自然免疫と獲得免疫、必修!腫瘍免疫学、2022、金原出版
2. 廣橋良彦、鳥越俊彦:がん幹細胞、がん免疫ペディア、2021、羊土社
3. 塚原智英、鳥越俊彦:次世代がんワクチン療法の開発、次世代がん治療、2017、(株)エヌ・ティー・エス

(敬称略)

 

2 -(1)研究助成〈一般〉:19件 1,900万円 [贈呈額:100万円]

北海道内の各種の研究機関等に所属し、生命科学のうち自然科学分野の基礎的研究で優れた研究者を対象とします。
年齢は問いませんが、若手研究者を期待、また自立的或いは共同で研究を行う研究者を対象とします。

研究者氏名

木下 学(キノシタ マナブ)

贈呈額:100万円

所属・役職

旭川医科大学脳神経外科学講座 教授

研究テーマ

神経膠腫病変を可視化するための定量的MRIによる説明可能な深層学習モデルの開発

研究者氏名

大栗 敬幸(オオクリ タカユキ)

贈呈額:100万円

所属・役職

旭川医科大学病理学講座 准教授

研究テーマ

血小板から始まる新規がん免疫療法の開発

研究者氏名

北川 孝雄(キタガワ タカオ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道医療大学先端研究推進センター 助教

研究テーマ

ユーイング肉腫における機能未知遺伝子の相互作用タンパク質の同定と機能解析

研究者氏名

塚本 卓(ツカモト タカシ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学大学院先端生命科学研究院 助教

研究テーマ

天然全長型アニオンチャネルロドプシンの見過ごされてきた分子機能

研究者氏名

与那嶺 雄介(ヨナミネ ユウスケ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学電子科学研究所 助教

研究テーマ

藻類色素を利用したラマンフローサイトメーター用の高感度マルチカラー検出剤の開発

研究者氏名

矢澤 隆志(ヤザワ タカシ)

贈呈額:100万円

所属・役職

旭川医科大学医学部 講師

研究テーマ

ヤツメウナギ生殖腺ステロイドホルモン産生機構の解明

研究者氏名

髙橋 大介(タカハシ ダイスケ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学北海道大学病院 講師

研究テーマ

骨粗鬆症続発骨折モデルへの抗炎症型マクロファージ移植が骨折治癒に及ぼす影響

研究者氏名

髙澤 啓(タカサワ アキラ)

贈呈額:100万円

所属・役職

札幌医科大学医学部 准教授

研究テーマ

希少がんのFFPE組織を用いたプロテオーム解析による治療標的探索技術の構築

研究者氏名

幸野 貴之(コウノ タカユキ)

贈呈額:100万円

所属・役職

札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所 講師

研究テーマ

癌細胞の休眠離脱を誘導する「隣接細胞間隙開裂型マクロ飲作用」の性状理解

研究者氏名

小林 篤史(コバヤシ アツシ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学大学院獣医学研究院 准教授

研究テーマ

孤発性プリオン病におけるプリオン蛋白ミスフォールディング機序の解明

研究者氏名

千見寺 貴子(チケンジ タカコ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学大学院保健科学研究院 教授

研究テーマ

細胞老化から解明するうつ病の脳内慢性炎症メカニズムと新規治療法の開発

研究者氏名

Schleyer,Michael(シュライアー ミヒャエル

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学高等教育推進機構 助教

研究テーマ

記憶の持続性を増長させる脳内の報酬神経機構の解明

研究者氏名

小林 健一(コバヤシ ケンイチ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道医療大学薬学部 教授

研究テーマ

アルベカシン耐性MRSAに対する耐性解除物質の全合成研究

研究者氏名

小林 進太郎(コバヤシ シンタロウ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学大学院獣医学研究院 准教授

研究テーマ

北海道で分離したウイルス株の比較によるダニ媒介性脳炎の病態形成機構の解明

研究者氏名

奥山 正幸(オクヤマ マサユキ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学大学院農学研究院 講師

研究テーマ

αーグルコシダーゼ触媒機構の再考とその応用に関する研究

研究者氏名

林 麻子(ハヤシ アサコ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道医療大学病院 客員准教授

研究テーマ

小児肥満における口腔内環境の変化が体内の炎症に与える影響

研究者氏名

西村 有香子(ニシムラ ユカコ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学遺伝子病制御研究所 助教

研究テーマ

接着斑メカノセンシングにおける細胞骨格微小管の役割

研究者氏名

大塩 貴子(オオシオ タカコ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学遺伝子病制御研究所 助教

研究テーマ

オートファジー阻害を起点とした新規膵がん治療法の開発

研究者氏名

岡松 優子(オカマツ ユウコ)

贈呈額:100万円

所属・役職

北海道大学大学院獣医学研究院 准教授

研究テーマ

エネルギー消費を担う熱産生脂肪細胞の機能制御における細胞骨格タンパク質の役割

(受付順、敬称略。所属・役職等は申込時のものです)

 

2 -(2)研究助成〈奨励〉:17件 850万円 [贈呈額:50万円]

北海道内の各種の研究機関等に所属し、生命科学のうち自然科学分野の基礎的研究で優れた研究者を対象とします。
申込時の年齢が40歳未満で、また自立的研究を行う研究者を対象とします。

研究者氏名

逢坂 文那(オオサカ フミナ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院農学研究院 助教

研究テーマ

ビフィズス菌が腸管に定着する際のmicroRNAの役割の解明

研究者氏名

太田 雄(オオタ ユウ)

贈呈額:50万円

所属・役職

旭川医科大学内科学講座 医員

研究テーマ

プロバイオティクス由来の免疫活性物質による新規肝癌免疫療法の開発

研究者氏名

益田 紗季子(マスダ サキコ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院保健科学研究院 講師

研究テーマ

ベーチェット病患者唾液における好中球細胞外トラップ形成異常の原因解明

研究者氏名

水野 夏実(ミズノ ナツミ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道医療大学薬学部 講師

研究テーマ

フマル酸ジメチルによるマクロファージ組織接着・浸潤に与える影響の解析

研究者氏名

佐藤 康史(サトウ ヤスシ)

贈呈額:50万円

所属・役職

旭川医科大学先進医工学研究センター 助教

研究テーマ

生体内組織工学を用いた自己再生する新規小児用人工心臓弁の開発

研究者氏名

遠藤 健(エンドウ タケシ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学北海道大学病院 助教

研究テーマ

新規軸索再生因子GFRα1の末梢神経再生効果とその分子機構の解明

研究者氏名

中島 孝平(ナカジマ コウヘイ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院薬学研究院 助教

研究テーマ

光を用いたがん関連マクロファージの特異的殺傷による新たながん治療法の開発

研究者氏名

中西 康(ナカニシ コウ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院歯学研究院 助教

研究テーマ

血中ビタミンD濃度が歯の形成に与える影響の調査と新しいう蝕予防へのアプローチ

研究者氏名

日尾野 隆大(ヒオノ タカヒロ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院獣医学研究院 講師

研究テーマ

インフルエンザウイルス受容体の網羅的検出にむけた技術基盤の構築

研究者氏名

喜多 俊介(キタ シュンスケ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院薬学研究院 助教

研究テーマ

脂質抗原提示分子CD1dによる抗原認識機構と熱安定性解析

研究者氏名

蘇武 佑里子(ソブ ユリコ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院薬学研究院 特任助教

研究テーマ

アルツハイマー病治療薬候補p3-A1cβの生体内産生機構の解析

研究者氏名

周 至文(シュウ シブン)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院医学研究院 助教

研究テーマ

マイクログリアによる睡眠リズムの形成

研究者氏名

吉川 裕介(ヨシカワ ユウスケ)

贈呈額:50万円

所属・役職

札幌医科大学医学部 助教

研究テーマ

心停止後臓器提供による心臓移植実現への挑戦:麻酔薬の心保護作用の応用

研究者氏名

先崎 理之(センザキ マサユキ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院地球環境科学研究院 助教

研究テーマ

鳥類の夜間渡りに対する人工光の影響の解明

研究者氏名

高木 純平(タカギ ジュンペイ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院理学研究院 助教

研究テーマ

植物における標的ユビキチン化タンパク質の細胞内動態解析系の開発

研究者氏名

石原 誠一郎(イシハラ セイイチロウ)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院先端生命科学研究院 助教

研究テーマ

組織の硬さから迫るがんが転移しやすい臓器の共通性

研究者氏名

小山 健斗(コヤマ ケント)

贈呈額:50万円

所属・役職

北海道大学大学院農学研究院 助教

研究テーマ

官能評価を駆使した革新的な人間の認識の見える化アルゴリズムの開発

(受付順、敬称略。所属・役職等は申込時のものです)

 

3-(1)ネットワーク形成事業助成A(一般)プロジェクト:1件 100万円

[贈呈額: 100万円(1件)]

(2022年度~2024年度までの3年間継続助成)

「生命科学(いのち)」をテーマとし、北海道において、さまざまな領域で直面する社会的課題を解決するために取り組む“つなぐ”プロジェクトや起業を対象とします。多様なメンバーで「プラットホーム」を形成し分野横断的な「ネットワーク」を構築することを必須条件とします。
活動の質的なステップアップ、担い手としての自立を目指すプロジェクトや起業を支援します。
原則として3年間の継続助成です。

プロジェクト名

高校生・大学生向け創業支援ネットワーク形成プロジェクト

代表者

浜中 裕之(ハマナカ ヒロユキ) NPO法人北海道エンブリッジ 代表理事

概要

起業・創業に関心をもつ高校生・大学生に対して想いと企画の実現に向けて伴走する「創業コーディネーター」を北海道の複数地域に育成し、創業支援ネットワークを形成する。

(受付順、敬称略。所属・役職等は申込時のものです)

 

【2022年度 秋山財団 各種助成金】

区 分

件 数

金 額

1. 秋山財団賞

1件

3,000,000円

2-(1) 研究助成〈一般〉

19件

19,000,000円

2-(2) 研究助成〈奨励〉

17件

8,500,000円

3-(1) ネットワーク形成事業助成【A】(新規)

1件

1,000,000円

※ ネットワーク形成事業助成 (継続)

6件

5,980,000円

合 計

44件

37,480,000円

 

※ネットワーク形成事業助成(継続助成分)の概要

【2020年度に採択となったプロジェクト(2022年度終了)】

プ ロ ジ ェ ク ト 名

代 表 者

2022年度
贈呈額

離島社会存続に向けた水源林の
 生態系サービス活性化
《 A“地域をつなぐ”プロジェクト 》
岡村 俊邦(オカムラ トシクニ)
NPO法人近自然森づくり協会 理事長
兼 北海道事務所長

100万円

発進!北海道まるごとキッズ元気プロジェクト!
《 A“地域をつなぐ”プロジェクト 》
作田 文子(サクタ フミコ)
一般社団法人 子ども体づくり協会 代表理事

100万円

「産後ケア推進プロジェクト」
 十勝から発信!!次も産みたくなる北海道
《 A“地域をつなぐ”プロジェクト 》
前川 泉(マエカワ イズミ)
開業助産所 いずみさんち
「母子保健推進の家」 所長

100万円

支え合える“居場所”となる
 地域×農業×福祉のコミュニティづくり
《 A“地域をつなぐ”プロジェクト 》
青木 明子(アオキ アキコ)
NPO法人 とあさ村 代表

100万円

 

【2021年度に採択となったプロジェクト(2023年度終了)】

プ ロ ジ ェ ク ト 名

代 表 者

2022年度
贈呈額

市民主体の対話によるまちづくりのための
 プラットホーム構築
~北海道で市民ファシリテーターを増やそう~
《 A“地域をつなぐ”プロジェクト 》
宮本 奏(ミヤモト カナデ)
NPOファシリテーションきたのわ 代表

98万円

さっぽろ里山会議
《 A“地域をつなぐ”プロジェクト 》
永田 勝之(ナガタ マサユキ)
さっぽろ里山会議、NPOあおいとり
小別沢町内会長、半農半建築家

100万円

 

(敬称略)
以上

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